皮膚には様々な腫瘍が生じます。皮膚の表面にできるもののほかに、皮膚の下にできるものもあります。このように、できる場所による違いの他に、大事な分け方として良性腫瘍と悪性腫瘍という分け方があります。
良性腫瘍と悪性腫瘍により、治療方法は異なります。
良性腫瘍の場合には基本的な治療はできものだけを摘出する手術になります。
できものの種類や大きさによって、局所麻酔で出来るものから全身麻酔を要するものまで変わってきます。
一方、悪性腫瘍の場合には、放置した場合は局所で進行して増大するため、早めに病気の部分を正常な部分を含めて、大きく切除することが必要です。切除後にはできるだけ変形が生じないように、各種再建手術を行うことがあります。悪性腫瘍の疑いの場合、対応できる病院へのご紹介をさせていただきます。
良性腫瘍の場合、病変が完全に取り切れれば再発の可能性はほとんどありません。ただし、いくつかの腫瘍はできやすい体質なども関わるため、他の場所に同じ腫瘍ができることがあります。
悪性腫瘍の場合には、種類によっては化学療法などを合わせて行うことと、長期定期な経過観察が必要になることがありますので対応できる病院へのご紹介をさせていただきます。
各疾患の代表的な腫瘍について、解説します。
粉瘤
感染のない場合は手術的に摘出します。腫瘍の直径の1~2倍の長さで開口部を含めて紡錘形に皮膚切開をして内容物を袋ごと摘出し、皮膚縫合した後の傷をシワに沿わしたり、くさび形に切除したりして出来る瘢痕を目立たなくします。
時には顔面の場合など傷をより綺麗にするために、開口部の皮膚と内壁をくり抜いて内容物を排出した後に嚢腫壁を摘出すると、腫瘍の大きさに比べて傷が小さく目立たなくできます。
感染のある場合、それが軽い場合は、抗生剤や抗炎症剤の投与で鎮静化させてから摘出します。感染が高度の場合は、一度、切開・排膿して開放治療(軟膏治療)を行い、傷が落ち着いた後、期間を置いて摘出します。しかし、感染のない場合に比べて治療期間が長くなり、キズ跡も劣ります。
色素性母斑(ほくろ)
いわゆる「ホクロ」です。一般的には大小さまざまで平坦なものから盛り上がったもの、黒いものから茶色(褐色)のものまであります。
生まれつきからあるものからあとで出現することもあります。また生まれつき皮膚のかなりの部分に色素性母斑がひろがっている場合には、巨大色素性母斑と呼ばれます。
色素性母斑は母斑細胞が表皮と真皮の境目もしくは真皮の中に存在して、メラニン色素を作り出すために、褐色ないし黒色に見えます。時には毛が生えたり表面がでこぼこすることもあります。
小さな色素性母斑は悪性化することはあまりありませんが、巨大色素性母斑は悪性化する可能性があるともいわれているため、適切な観察や治療が必要です。また一般に足の裏や手のひらのほくろも悪性化しやすいと言われますが、それほど頻度は高くありません。
ただホクロがいつのまにかできて次第に大きくなる、色の濃淡がある、形状が左右対称でない、境界が不明瞭、傷ができて治らない、などは悪性化の可能性があるため、早めに形成外科を受診してください。
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