瘢痕(=きずあと)の線維成分が過剰に増殖すると、ケロイドや肥厚性瘢痕と呼ばれる状態になります。
よく“ケロイド”という言葉でまとめられて使われていますが、ケロイドと肥厚性瘢痕とは全く違う疾患です。
ケロイドと肥厚性瘢痕の症状の大きな違いは下記のとおりです。
◯ケロイド
成因は不明、真皮の表層のわずかな損傷でも、発症原因となります。
なりやすい傾向にあるのは、黒人>黄色人種>白人となっており、いわゆるケロイド体質の人です。
胸の正中部、三角筋部、肩甲部、耳介、耳後部、恥骨上部が好発部位。但し、全身どこでも発生の可能性はございます。
自覚症状は、かゆい、いたい、あかい、ひきつれ感ですが肥厚性瘢痕よりも症状が強いのが特徴です。
◯肥厚性瘢痕
真皮中層から広く広範囲に損傷が及んだ場合、「創傷治癒の遅延」により発生します。
人種によるなりやすさの傾向はなく、体質も特徴はないですが高度型ではケロイド体質を認めることがあります。
全身どこでも発生の可能性があり、特に関節部など可動部で傷痕に緊張のかかりやすいところです。
原因として挙げられるのは、1)傷の深さ、2)傷の治るはやさ、3)傷にかかる力、4)妊娠・女性ホルモン、5)高血圧、6)全身の炎症、7)過度の飲酒や運動、8)遺伝的な問題などです。
治療方法は、単独ではなく複数を組み合わせて行うことが多いです。
1)圧迫療法 テープ、スポンジ、サポーター、シリコンゲルシートなどによる圧迫をおこなうことで固定と安静患部の安静を保ちます。
2)外用療法
ステロイド剤の入ったテープや、ステロイド剤軟膏を使用します。
保湿を目的として、水分不透過性絆創膏を貼ります。
3)局所注射療法
ステロイド剤をケロイドに直接注射する方法です。
4)内服療法
抗アレルギー剤が、かゆみなどの症状に効果が認められることがあります。
5)レーザー治療
血管の数を減らすレーザーが有効とされていますが、健康保険を適用しての治療はできません。
6)その他
液体窒素を使った治療法など、種々の治療法が報告されています。
Inquiries & Reservations
まずはお気軽に
お問い合わせください。