しわができる原因は、発生する場所によって異なります。表皮にできるしわは肌の乾燥によって、真皮にできるしわは継続的に肌を動かすことで引き起こされます。
まずは、しわができる2つの原因について説明します。
表皮性しわ|乾燥により一時的にできる
小じわと呼ばれる目元や口元にできる表皮性のしわは、主に皮膚の乾燥が原因です。表皮とは皮膚の表面部分のことです。
皮膚が乾燥すると角質層が剥がれやすくなり、隙間から水分が蒸発するため、しわが発生しやすくなります。
小じわは若い年代の方でもできますが、若いうちは肌に弾力があるため、しわができても一時的なものにとどまります。加齢に伴い肌が老化すると肌の弾力も落ちてしまうため、一度できた小じわが元に戻りにくいです。
真皮性しわ|繰り返される表情の運動でできる
真皮の細胞の変化で生じるしわが「真皮性しわ」です。真皮は、表皮よりも肌の奥にある層を指します。真皮性しわは、表情運動が繰り返し行われることで引き起こされます。
真皮性しわの原因は、肌にハリをもたらすコラーゲンや肌の弾力に作用するエラスチンの劣化・減少です。
紫外線によるダメージを受けると、コラーゲンやエラスチンを生み出す細胞の数が減少したり、そもそも作り出せなくなったりします。結果的にコラーゲンやエラスチンも減ってしまい、肌に緩みが生じるようになります。
緩んだ肌で表情運動を繰り返すと、一度できたしわが戻りにくくなるという仕組みです。
真皮性しわは表情筋と垂直の方向に刻まれる小じわと、加齢によって生じる口の周辺や顔の輪郭にできる大じわに分かれます。
しわやたるみを対策・予防するためには、紫外線対策が重要です。
しわの中でも深刻度の高い真皮性しわは、紫外線によって体内のコラーゲンやエラスチンなど減少することで発生します。紫外線は表皮性しわの原因となる乾燥も引き起こします。
紫外線にはいくつかの種類がありますが、特に肌の深くまで届くUVAがしわの原因になりやすいです。
皮膚の深い位置にまで達したUVAはコラーゲンやエラスチン等の物質を作る維芽細胞にダメージを与えます。UVAの攻撃によって弾力を失った肌は、しわやたるみなどのリスクが高くなります。
UVAはしみの原因物質であるメラニンも増やすので、若々しい肌を保つためには紫外線対策が重要です。UVAは照射量が多く肌への奥深くにまで届くため、しわへの影響が大きいです。またガラスを遮って皮膚に届くため、季節を問わず対策が必要になります。
また、しわは化粧品を使って改善できる可能性があります。化粧品によるしわの改善方法は、表皮性しわと真皮性しわで異なります。
表皮性しわの場合、丁寧な保湿をして肌のきめやターンオーバーを整えることで、改善できる可能性が高いです。ターンオーバーとは、日々肌が生まれ変わるサイクルのことを言います。ターンオーバーのサイクルを改善できれば、比較的しわが目立たなくさせることが可能です。保湿を徹底することで角質の乾燥をなくすことができるため、ターンオーバーのスピードを正常化できます。
真皮性しわの場合は、コラーゲンやエラスチンに関する成分が含まれたクリームや美容液を使うことが重要です。ただしコラーゲンは分子が大きく肌にうまく馴染まないので、肌の表面から塗り込むケアでは高い効果が見込めません。
コラーゲンを作る線維芽細胞や、線維芽細胞を作る真皮幹細胞そのものを増やすことで、肌の内側からコラーゲンの増大をはかる必要があります。
しわを根本的に改善したいなら市販の化粧品の使用以外に、クリニックで治療を受けることも選択肢の一つです。市販の化粧品は肌の表面部分である表皮までしか浸透しないものがほとんどです。
しわの改善に効果を示す細胞の多くは真皮に存在するため、化粧品でしわを改善しようとしても限定的な効果にとどまります。
クリニックでは、真皮にまで効果を及ぼす治療法や治療機器を利用できます。しわを治す方法をお探しの方は、クリニックでの施術を検討しましょう。
当院での治療方法についていくつかご紹介します。
1.ダーマペン
ダーマペンは微細な針を使って肌に穴を空けることで、肌組織の生まれ変わりを促進する治療法です。ダーマペンで肌に針を挿し込むと線維芽細胞が活性化され、しわに影響するコラーゲンなどの生成が促されます。
ただし、治療後すぐ効果が表れるわけではないので注意しましょう。ダーマペンの治療は平均して5回程度かかり、各治療の間隔も3~4週間程空ける必要があります。
2.HIFU
HIFU(ハイフ)は超音波を使い、肌のたるみを改善する治療法です。肌の土台となる筋膜(SMAS)に超音波を当てられるため、高い引き締め効果をもたらします。
3.ボトックス注射
ボトックス注射は、注射部位の筋肉をリラックスさせることで見た目をスッキリさせるほか、おでこや眉間のしわ改善にも効果を示します。
しわの要因には筋肉の収縮が関係している場合がほとんどです。ボトックス注射を打てば筋肉の収縮を抑えられるので、しわの減少が期待できます。
4.ヒアルロン酸注射
保湿・吸水性に優れ、弾力性を併せ持つヒアルロン酸を各部位に注射する治療法です。
しわの溝部分にヒアルロン酸を注入すると真皮が表皮を持ち上げ、全体的に肌がボリュームアップします。結果的にしわやほうれい線が目立ちにくくなり、効果を実感できるという仕組みです。
ヒアルロン酸は元々体内に存在する成分でもあり、注射によってトラブルを引き起こす危険は高くありません。ただし、まれに痛みや腫れを引き起こす場合があります。