脂肪吸引のダウンタイム中に見られる症状についてそれぞれ詳しく解説していきます。症状別の過ごし方もまとめているので、ご自身の症状に適した対処を講じることができるでしょう。
痛み
痛みの感じ方や許容範囲には個人差があるため、明確にお伝えするのは難しいですが、
手術後3日ほどでピークとなり、その後は徐々に痛みが引いていく傾向にあります。
1週間ほどで違和感がなくなり、2週間経過すればほとんど感じなくなります。痛みは、強い筋肉痛のような鈍痛や「ズキズキ」「ピリピリ」と表現されることが多いです。
とくにお腹まわりの脂肪吸引をすると、笑う・くしゃみをする・立ち上がるといった腹部の筋肉を使う動作でズキズキとした痛みを感じます。
痛みが出ている間の過ごし方
- ・十分な睡眠時間を確保する
- ・栄養バランスの取れた食事を心がける
- ・動けるときに軽く身体を動かす
- ・痛みが激しいときは無理せず痛み止めを服用する
- ・圧迫固定や下着を正しく装着する
痛みを感じているときは、いつもより疲れやすかったり、眠たくなったりすることがあります。これは、施術で傷ついた身体を回復させようとする正常な反応です。
十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスのとれた食事を摂取して可能な限り規則正しい生活をして身体をいたわることが大切です。また、痛みが強い場合は無理をせずに処方された痛み止めを服用し、安静に過ごしましょう。
圧迫固定や下着を正しく着用することで、皮膚や筋肉の動きが抑えられ、痛みの軽減につながります。また、長時間同じ姿勢で過ごしていると、筋肉が固まり、動いた瞬間に強い痛みを感じやすくなるため、適度に身体を動かすことも大切です。
内出血
内出血は、施術直後から2週間ほどで現れます。施術で脂肪を吸引する際に血管が傷つくことが原因で起こるといわれています。
施術を受けて1週間経過したあたりでもっとも目立つようになり、紫色や赤黒いあざのような見た目になることもあります。2〜3週間ほどで黄色っぽくなり、自然に消えていきます。結婚式を控えているなど大切なご予定がある方は、回復までの期間を逆算して施術を受けるようにしてください。
なお、内出血の症状は、上半身(顔や二の腕、お腹)より下半身(太ももなど)の施術を行ったときの方が長びく傾向にあります。重力の影響により、施術を受けた部位よりも下の方に現れることもあります。
内出血が出ている間の過ごし方
- ・術後5日目ぐらいまでは冷やす
- ・6日目以降は温めて血流を促す
- ・ビタミンCやビタミンKを含む食品を積極的に摂る
また、粘着剤が脂肪吸引直後のデリケートな肌に悪影響を及ぼし、かぶれを引き起こすことも考えられます。
内出血は、手術後5日目までは患部を冷やすようにしましょう。それ以降は患部を温めて、血行を促すことで改善が早くなります。
冷やす際には、氷嚢を使用することを推奨します。冷却枕は内包されているジェルが-16度まで下がるため長時間使用すると凍傷のリスクがあります。反対に、貼るタイプの冷却材は、表面の温度は下げられますが、深部まで冷やすことができません。
さらに、粘着剤を脂肪吸引直後のデリケートなお肌に密着させることで、かぶれやかゆみなどを引き起こす可能性があるので、氷嚢で冷やすと良いでしょう。
また、ビタミンCやビタミンKは、血流を促し、内出血の回復を早める働きがあります。
栄養素 | 多く含む食品 | 効能 |
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ビタミンC | 柑橘類、緑葉野菜、いも類 | 血管の強化・コラーゲン生成 |
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ビタミンK | 緑葉野菜、植物油、豆類、海藻類など | 血液凝固・内出血の早期改善 |
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出典:栄養に関する基礎知識|栄養・食事について|循環器病について知る|患者の皆様へ
出典:Vitamin C - Health Professional Fact Sheet
出典:Vitamin K - Health Professional Fact Sheet
むくみ
脂肪吸引後に「細くなるどころか太った気がする」と感じる方もいます。これは、むくみが生じていることが原因です。脂肪吸引をしたことでリンパの流れや血液循環が一時的に滞るため、身体が水分をため込みやすくなります。
むくみは、水分の過剰摂取や排出不全によって起こり、水分が身体の中に溜まって膨れてしまった状態を指します。ダウンタイム中は、水分の排出処理が正常に行われず、むくみが起こりやすくなるのです。
とくに末端に現れやすいため、顔や手足を見て太ったように感じる方が多い傾向にあります。術後1ヶ月程度で徐々に改善されます。
むくみが出ている間の過ごし方
- ・術後1週間ほど適度に圧迫する
- ・1週間目以降はできるだけ体を動かす
- ・カリウムを多く含む食品を摂取する
手術直後の1週間ほどは専用のストッキングやボディースーツを着用して適度に圧迫し、血流を促しましょう。血液の循環が良くなるように設計されているため、着用するだけでむくみの解消効果が期待できます。
また、1週間ほど経過したら、適度な運動やストレッチを行い、血流を促しましょう。塩分の多い食事は避けてカリウムを多く含む食品(バナナ、アボカドなど)を摂取することで、水分バランスを整えられます。入浴や軽いマッサージもむくみの改善に役立つのでおすすめです。
出典:カリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)
しびれ
ダウンタイム期間中は、皮膚の感覚が鈍くなったり、ピリピリとしたしびれを感じる患者様も見られます。長時間同じ姿勢で施術を受けていたことや、術後のテーピングによる神経の圧迫などが原因として考えられます。
しびれの症状は、早ければ施術を受けた日、遅くても2週間以内で解消されます。それ以上長引く場合や症状が強い、あるいは違和感がある場合は、クリニックにご相談ください。
しびれが出ている間の過ごし方
- ・患部を温める
- ・拘縮の場合はマッサージやストレッチ、湯船にゆっくり浸かる
- ・ビタミンB12が含まれる食品を摂る
しびれが気になる場合は、血流を促すために患部を温めるように心がけてください。また、しびれは、拘縮によって生じることもあるので、その場合はマッサージやストレッチを行うと良いでしょう。
食事面では、ビタミンB12が含まれる食品(魚、卵、乳製品)を摂ることで、神経機能の回復をサポートできるのでおすすめです。しじみ、あさり、レバー、チーズなどに含まれていますが、食品で摂るのが難しい場合はサプリメントで手軽に摂取するのも良いでしょう。
かゆみ
脂肪吸引後にかゆみが生じることもあります。これは、皮膚の回復過程で起こる正常な反応です。手術直後の痛みが収まった頃から、長ければ3ヶ月ほど続くこともあります。
とくに皮膚が引き締まり始める拘縮の時期にかゆみを感じやすくなります。ほかにも、術後のテーピングによる圧迫やこすれが原因の場合もあります。いずれも、皮膚が乾燥することで生じやすくなるため、保湿ケアを徹底することが大切です。
かゆみ止めを処方してもらえるクリニックもあるので、ご不安な方は相談しましょう。
かゆみが出ている間の過ごし方
- ・手術直後はしっかりアイシングする
- ・適度に運動をする
- ・適切なサイズかつ通気性の良いサポーターを選ぶ
- ・クリームなどで保湿ケアを徹底する
かゆみを軽減するために、保湿ケアをしっかりと行い、お肌の乾燥を防ぎましょう。また、手術直後のほてるような熱さを感じる時期は、氷嚢でアイシングすることでかゆみが引く可能性があります。
適度な運動は代謝を促すことで、かゆみの改善にもつながります。汗をかいた後はすぐにふき取り、蒸れを防ぐことでかゆみのトラブルを防げるしょう。外部要因として、サポーターの締め付けが考えられるため、かゆみがひどい場合は、少しゆるめたり、通気性のよいものを選んだり、こすれないように工夫をして対策を講じましょう。
硬縮
拘縮は、脂肪吸引を行った部位の皮膚が硬くなり、突っ張ったように感じたり、皮膚表面が凸凹した手触りになったりする状態です。
手術の1週間後から徐々に現れ、3ヶ月ほど続くこともあります。これは、手術によってダメージを受けた線維組織が回復する過程でコラーゲンが生成されるために起こる正常な反応です。皮膚が乾燥しやすく、かゆみを伴うこともあるのでしっかりと保湿ケアをしましょう。
硬縮が出ている間の過ごし方
- ・マッサージやストレッチ、入浴などで血行を促す
- ・インディバを受ける
- ・保湿ケアを徹底する
皮膚が硬く、しこりのように感じる部分は、グリグリと指圧してほぐしましょう。ツッパリ感がある部分は、ゆっくりと押し伸ばします。マッサージを根気強く続けることで、皮膚の伸縮性が高くなり、拘縮の症状も緩和されます。
また、皮膚が突っ張り、動きにくくなった可動域を広げるためにストレッチを行うのも良いのでしょう。マッサージやストレッチ、入浴などで身体を温めることで、血流が促され、拘縮の改善につながります。
また、高周波エネルギーによる温熱効果で血液とリンパの流れを改善する「インディバ」という施術を受けるのもおすすめです。